ビッグ フィッシュ

久しぶりの書き込み。
ティム・バートン監督の映画「ビッグ・フィッシュ」をレンタルDVDで見る。
個人的にチョコレート工場を見て演出手腕の衰えを感じていました。期待半分恐る恐る見てみたのですが、内容は実に面白く濃い。シザー・ハンズから続くファンタジー世界に、エド・ウッドやスリーピーホローのようなゴシックホラー的暗い雰囲気が融合した作風なのですが、類まれなキャラクター造詣やディテールの懲りようはティム・バートンならではの世界観が如実に反映されています。
内容は、もうすぐ子供が生まれる男性が死を間近に控える父親と本気で向き合うという裏の筋があるのですが、
表面上はシーラカンスのような巨大な魚を取り上げると子供が生まれた話や、巨人やサーカス一座が支配する小さな田舎町の話、従軍先のアジアで出会った体は一つで頭が二つある美人姉妹の話など虚実ないまぜとなったような作り話が繰り広げられていく。つまりそれらの話を主人公の男性は父親から聞かされていたという設定。
結末はさておき、描かれている不思議な世界は現実にはありえない世界で奇妙な視点を変えると恐い世界なのかもしれないのですが、ティム・バートンが描くと素敵と思えるところが監督の力量といえるのでしょう。

物語の中で描かれる異次元というか別世界というと、SFのような近未来、歴史や神話になぞらえた壮大な幻想的世界、怨霊が取り巻くオカルト世界など色々ありますが、ティム・バートン監督は20世紀のアメリカをおもちゃで遊ぶ子供の視点のような夢溢れる世界として取り上げそしてファンタジーの世界にまで昇華しているところが斬新というか妙技と言えます。