第75回 文学界新人賞 ちょっとムカつくけれど、居心地のいい場所 伏本和代

主人公の女子高生には年の離れた叔母がいる。叔母はある日、一緒に探偵事務所について来てくれないかと頼む。
叔母の夫がどうやら浮気をしているらしく、その調査依頼に付き合ってくれというものだった。主人公の女の子は母親の様子が変なのが気になっていた。母親の様子が変なのは婦人科から帰ってきてからだった。叔母のこともあり、母親が父とは違う男と浮気して妊娠したのではないかと思い心配になり母親に対して疑いの目を向けるのだった。
やがて探偵事務所から報告があったと叔母から連絡がはいる。叔母には分かっていたことだが実際事実として前に突きつけられるとどうして良いのか分からなくなってしまう。最初は強がっていた叔母だったが実は自分の意思で何一つ動くことのできない弱い人物だったのだ。そんな叔母の姿を見た主人公の女の子は両親の仲睦まじい姿と叔母夫婦の対極的な様子を見ながら子供から脱皮していく。

第77回 文学界新人賞 中村邦生 冗談関係のメモリアル

学生時代の友人同士の男が飲み屋に集まって身も蓋もない話を言い合うという話。日本という国が貧しさや戦争から縁遠い国になり、個人的な問題が一番の国家的問題なのか?だろうかと錯覚してしまう。それはそれで有難いし、平和が何よりだ。しかし、ノーベル文学賞は激動の時代を送る国の作家に送ってほしいと思う。本題に戻ると、この小説はユーモア小説ということになるのだろうが、ユーモアというのはバランスが重要だなと感じた。語りすぎてもダメ、とはいえ淡白すぎてもダメ、同時代人、同国人でなくても面白さが分からなければダメなのだから。


第77回 文学界新人賞 篠原 一 壊音

漫画アキラやウィリアム・ギムスンのSFのような未来青年少女が登場人物で、ゲリラとか反政府分子みたいなそれ系の用語がキーワードとなる物語


by文芸誌ムセイオン

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